
プリオケ第40話は、シリーズの根幹に関わる設定が一気に明かされる「答え合わせ」の回でした。
先代プリンセスの真実や白と赤の女王の正体など、これまで謎だった部分が明らかになった一方、設定そのものについては、ここまでの展開からある程度予想できる範囲のものです。
それよりも印象に残ったのは、白の女王とプリンセスたちの「未来」に対する向き合い方でした。
第40話で浮き彫りになったのは、単純な「未来を変えられるか」という問題ではなく、誰がその未来を引き受けるのかという問題だったように思います。
2026年9月25日 大幅改稿(冗長だったのでコンパクトに。文意自体は変更なし)
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白の女王だけが「未来」を引き受けていた
第40話では、白の女王の口から、この世界に関する重要な設定が明かされました。
白と赤の女王の正体は、かつてアリスピアを守って命を落とした先代プリンセスの想いと、ミューチカラが融合して生まれた存在でした。
彼女たちは先代プリンセス自身というより、「アリスピアを守りたい」という意志が別の存在として形になったと考えたほうが近いでしょう。
そして白の女王には未来を予知する力があり、アリスピアにはいずれ再び災いが訪れ、世界が崩壊する可能性が高いことも分かっていたのです。
その災いは、先代プリンセスが命と引き換えに「押し戻した」ものと同一だと推測されます。
白の女王は「未来を理由に」行動している
ここで重要なのは、白の女王の行動が正しいかどうかではありません。
彼女は、少なくとも「これから何が起こるのか」を考えたうえで行動しています。
アリスピアが崩壊する未来を知っているからこそ、その未来を避けるために現在の状況を変えようとしている。
その方法がプリンセスたちにとって受け入れがたいものであったとしても、白の女王自身は「この先どうなるのか」という問題から逃げてはいません。
赤の女王との約定を守りながら、世界を存続させようとしてきたのも同じです。
その結果、物語上は敵である白の女王が、皮肉にも「この世界をこの先どうするのか」という問いに最も具体的な答えを持っているように見えてしまいます。
無論、だから白の女王が正しいという話ではありません。
ですが、第40話まで見た時点では、未来を知ったうえで、その結果まで引き受けようとしているのが白の女王側であることは否定できないと思います。
「未来は変えられる」だけでは、未来を選んだことにならない
では、白の女王から衝撃の真実を聞いたプリンセスたちは、どう反応したのでしょうか。
「未来をどうするのか」につながらない
白の女王が語ったのは、先代プリンセスの犠牲と、その先に待っている未来の災いでした。
それに対して、リップルはこう言います。
なのに、どうしてあなたはアリスピアに悲しい思いを増やしてるの!?
引用元:『プリンセッション・オーケストラ』第40話
この言葉自体は、もちろん理解できます。
目の前で誰かが傷ついているなら、それを止めようとする。
「未来のためだから」と言われても、現在進行形で悲しい思いをしている人を見過ごす理由にはなりません。
ただ、ここで気になるのは、その反論が「では、その未来をどうするのか」にはつながっていないことです。
白の女王が提示したのは、アリスピアはいずれ災いに襲われるという未来でした。
ならば、それに対してプリンセス側が提示すべきものは、「そんな未来は嫌だ」だけではなく、「だから私たちはこうする」という回答のはずです。
しかし、第40話ではそこまで踏み込んでいません。
「決まりきった未来なんてない」
その代わりに、ラストでリップルは「未来は変えられる」「決まりきった未来なんてない」と歌います。
希望を示す言葉としては、非常に分かりやすいものです。
白の女王の未来予知が絶対ではなかったことも、実際に彼女自身が未来を変えようとして行動していたことも描かれました。
だから「未来は決まっていない」という考え方自体を否定するつもりはありません。
ただ、この時点では、それが「私たちはこういう未来を選ぶ」という宣言にはなっていない。
白の女王の予知が絶対ではない。未来は変えられる。
そこまでは分かります。
では、どうやって災いを防ぐのか。アリスピアをどう存続させるのか。白の女王とは違う方法で、どんな世界を作るのか。
そこはまだ語られていません。
結局のところプリンセスたちは、白の女王の未来を否定することはできても、代わりの未来を提示するところまでは到達していないのです。
これは第24話で赤の女王と対峙したときにも感じたことでした。
赤の女王が語る「アリスピアの繁栄」に対しても、プリンセス側から具体的な別の世界像が示されたわけではありません。
第40話では、それが「未来」という、より大きな問題としてあらためて出てきたように見えます。
「未来は決まっていない」の先に何があるのか
個人的に第40話を見ていて一番引っかかったのは、「未来は決まっていない」という言葉そのものではなく、その先が描かれていないことです。
白の女王は、少なくとも自分なりの答えを持っています。
アリスピアが崩壊する。その災いを防ぐ必要がある。そのためには現在の犠牲もやむを得ない。
その考え方が正しいかどうかは別として、未来について考えたうえで選択しています。
一方、プリンセスたちは「そんな未来は嫌だ」と言う。
それも当然です。
しかし、そこで止まってしまうと、結局は「今の悲しみをなくしたい」という話に戻ってしまいます。
未来を変えるのであれば、「変えた結果、どんな世界にするのか」まで考えなければならない。
第40話では、そこにまだ大きな差がありました。
未来を動かしてきたのは、むしろ女王側だった
さらに皮肉なのは、ここまでの物語を振り返ると、実際に状況を動かしてきたのが女王側だったことです。
赤の女王が行動を起こしたことで、新たなプリンセスが生まれました。
プリンセスたちの成長の軌跡は、バンド・スナッチと赤の女王側が敷いたレールです。
そして、その構造の発端には、白の女王が見た未来があります。
つまり、プリンセスたちは女王側が動かした結果として生まれた現在に立って、「未来は決まっていない」と言っていることになります。
無論、女王側のやり方が正しかったことにはなりません。
むしろ、プリンセスたちがその構造を乗り越えて、自分たちの選択によって別の未来を作れるのかが重要なのでしょう。
必要なのは、自分たちはどんな未来を選ぶのか、その結果についてどう責任を負うのかというところまで踏み込むことです。
まとめ|未来を変えるなら、その未来を語ってほしい
第40話で明かされた設定は、単なる謎解きではありませんでした。
先代プリンセスの犠牲、白と赤の女王の誕生、そしてアリスピアに再び訪れる災い。
これらが明らかになったことで、白の女王がなぜ現在の行動を選んでいるのかも見えてきました。
白の女王は、未来に起こることを知ったうえで、その未来を変えるために動いています。
それが正しいかどうかは別として、少なくとも彼女は「この先の世界をどうするのか」という問題から逃げてはいません。
一方、プリンセスたちは「決まった未来なんてない」と反論します。
しかし、第40話の時点では、そこから先の未来像までは語られていません。
ですから、第40話を見て感じたのは、敵である白の女王のほうが、主人公たちより先に「その後の世界をどうするのか」という問いを引き受けていたことへの違和感でした。
だからこそ、次に見たいのは白の女王を倒せるかどうかだけではありません。
その先でプリンセスたち自身が、どんなアリスピアを作りたいのか。
そして、その未来を自分たちの選択として引き受けられるのか。
第40話がここまで大きな設定を開示した以上、最後には「今が楽しいから」だけではない答えを聞かせてほしいと思います。
……まあ、第24話のように、女王を倒してめでたしめでたしで終わる可能性もありますが。
それでも最後くらいは、プリンセスたち自身の言葉で「私たちはこの未来を選ぶ」と言ってほしいところです。
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