ひょんなことから自称葬儀屋の男、ニコラス・D・ウルフウッドと行動を共にすることとなったヴァッシュ達。
第三都市ジュライを目指して、車に揺られて赤い砂漠を横断する。
車内に流れるラジオは不穏な信仰。
奇妙なワムズの死骸を見つけ検分するメリルたちをよそに、ヴァッシュは遠くに見える風車の村に引き寄せられるように歩を進める。
というわけで、『TRIGUN STAMPEDE』第5話「祝福の子供」の感想です。
- 原作は終盤のみ読んでいる
- 旧アニメはリアルタイムで見たり見なかったり
- 大まかな設定やヴァッシュの正体などは把握
- 細部は全然知らない
という中途半端な人間が執筆しております。
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『TRIGUN STAMPEDE』 #05 祝福の子供 感想
#05 祝福の子供
放送日 2023年2月4日
絵コンテ 錦織博
演出 錦織博
第4話でヴァッシュのメンタルを回復させたと思ったら、秒で曇らせに来たぞこのアニメ。
祝福の子の死によって、廃墟と化した村に灯がともるラストは遣る瀬無いですね。
今回はヴァッシュとウルフウッドの設定紹介回だったのか、年月の経過とロロの末路に重ねて、肉体的にも思想的にも正反対であるふたりの対比がなされていました。
第5話の感想は、以下の二つに分けて記述しています。
アニメ本編で提示された情報から推測可能な範疇ではあるものの、原作ヴァッシュ・ウルフウッドの根幹にかかわる設定に言及しているので、ネタバレにご注意ください。
定命者非定命者の時間
廃墟と化して20年は経過しているであろう風車の村の屋内でメリルが見つけたのは、いまと寸分違わぬ姿で赤子を抱くヴァッシュの写真でした。
今回ヴァッシュが不老の存在――ある種の非定命者であることが。
幼児と成人のように、ヴァッシュと定命者ではあまりにも時間――特にタイムリミットの感覚が違いすぎます。
ですから、常人なら無理だと判断して口を噤んでしまうようなことを、ヴァッシュは平気で言ってしまう。
困ったときは僕を思い出して。必ず助けに行くから。
神様が助けないなら、僕が君を助ける!
引用元:TRIGUN STAMPEDE 第5話 祝福の子供
正直なところ、第3話でヴァッシュが
「みんなのプラントは必ず取り戻す。どんなに時間がかかっても……!」
と言ったときは、「どんなに時間がかかっても」じゃないんだよ! 時間なんてないんだよ! これだから不老はさあ……。空気読も。と思いました。
ヴァッシュからロロとの「約束」を聞いたウルフウッドが「つまり、助ける言うて大口叩いたくせに、できひんかった、ちゅう訳やな」と辛辣な指摘をしていましたが、さもありなん、です。
ロロがなんの病気を患っていたのかヴァッシュは知らないはず。
手に入れた薬も特効薬ではなく、ステロイドのような対処療法のためのものではないでしょうか。
どれだけ人に寄り添っても、人ならざる者。
非定命者の限界を感じます。
君が不殺を貫く時、誰かが代わりに手を汚す
モネヴ・ザ・ゲイルに引導を渡したのは、ウルフウッドでした。
不老の非定命者が不殺を貫く皺寄せで、死せる者であるウルフウッドが自らのテロメアを殺いで手を汚す構図はいろんな意味で残酷です。
新興宗教を信仰していた廃村、ヴァッシュを知る異形、そして彼から聞いたロロとの「約束」……。
これらを総合すれば、ウルフウッドならモネヴ・ザ・ゲイルの出自は容易に推測できるでしょう。
なぜなら彼も、同類なのですから。
モネヴ・ザ・ゲイルを撃つ直前、ウルフウッドは
「このドアホが!」
とヴァッシュに対して怒声を上げましたが、これは「また出来もせえへん約束する気かボケェ!」という意味が込められているように感じました。
実際のところ、ヴァッシュはモネヴ・ザ・ゲイルをどうやって救う気だったのか。
モネヴ・ザ・ゲイルの亡骸に縋りつくヴァッシュの姿は、ウルフウッドにとってはさぞかし白々しく苛立たしいものだったでしょう。
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