バンド・スナッチの再臨という衝撃とともに幕を閉じたプリオケ第42話。
新曲が鳴り響く瞬間の高揚感は、シリーズでも屈指の熱量でした。
しかしその一方で、ナビーユをめぐる違和感や「今さら」感のある問題提起も浮かび上がります。
盛り上がりと構造的な揺らぎが同時に存在する、非常に興味深い回でした。
熱は戻った――では、物語への信頼はどうなのか。その点も含めて振り返ります。
- Enemy side
- Princess Side
帰ってきたバンド・スナッチ|この瞬間のために観ていた
第42話は、物語の構造や伏線以前に、まずひとつの事件がありました。
祝! バンド・スナッチ復活!!!!
この瞬間のためにここまで観てきたのだと言っても過言ではないでしょう。
砂煙の向こうに現れた「再臨」
ジャマスナークに放ったプリンセスの必殺技は、弾かれてしまいます。
砂塵の向こう、ジャマスナークの前に立つのは、四つの人影――
バンド・スナッチ、此処に再臨!!!!
次回予告の配色がバンド・スナッチのメンカラだったことから、42話で彼らが復活することは予想済みでした。
しかし、それでもやはりバンド・スナッチの姿を目にした瞬間、歓喜の声をあげてしまいました。
新曲「LEGENDARY REVIVAL」という宣言
特殊EDとして流れた新曲「LEGENDARY REVIVAL」(此処に再臨!も曲の一部だった)。
タイトルからして、復活を高らかに宣言する楽曲です。
これまでコーラス中心だったベス、ギータ、ドランにも明確なソロパートが与えられていました。
それだけで、彼らが「再登場」ではなく「再始動」であることが伝わってきます。
重低音のドランと高音のギータに挟まれてベス(最推し)の声が埋もれがちだったので大変たすかります。
特に印象的だったのは、歌詞の一節です。
- 勝利にふさわしき姿 共に踊り明かそうか
- 何一つ変わらない想いを抱いて 何度も何度でも立ちはだかろう
- 越えるべき壁となって
これは単なる復活ソングではありません。
「壁」であることを自ら宣言している歌です。
彼らは敵なのか、それとも試練なのか
歌詞からは、未だ忠誠心が失われていないことが読み取れます。
彼らの主君は赤の女王。
その立場は、少なくとも表面上は変わっていないように見えます。
さらに、「越えるべき壁となって」という表現は、プリンセスたちの進化を促す存在であることも示唆しています。
これは自分たちを鼓舞する歌なのか、それともプリンセスを鼓舞する歌なのか。両義的です。
だからこそ、バンド・スナッチは単純な悪役では終わらない。
彼らは乗り越えるべき存在であり、同時に共に高みを目指す存在でもあるのです。
推しが帰ってきたという事実
ここまで分析めいたことを書きましたが、そんなことはどうでもよかったのかもしれません。
バンド・スナッチが帰ってきた。新曲を携えて、堂々と名乗りを上げた。
それだけで十分でした。
もうここで42話の感想終わってもいい?(ダメですそれは許さんです)
物語上の立場がどうであれ、彼らが再びステージに立ったという事実。
それが、今回の第42話でいちばん純粋に嬉しかったことです。
平穏な日常と語られない「災い」
バンド・スナッチ復活という強烈な高揚の前に、今回のAパートでは穏やかな日常が描かれていました。
白の女王を退け、ひとまず戦いは終わった──そんな空気が画面全体に広がっています。
しかし、その平穏さに私はどこか引っかかりを覚えました。
穏やかなデート風景
42話はいわば「デート回」と言ってもいいほどの、和やかな日常描写から始まります。
笑い合い、寄り添い、戦いのない時間を噛みしめる。
キャラクターの関係性を描く場面としては、悪くありません。
むしろ、こうした「間」があることで物語にリズムが生まれます。
問題は、その直前に何が語られていたかです。
白の女王が残した「災い」という言葉
41話でプリンセスによって倒された白の女王は、「災い」の存在を明言し続けていました。
それは、彼女が自らの手を汚して対抗しようとしていた、未来に迫る何かです。
風花姉妹はその遺志を継ぎ、アリスピアとそこに住まう人々を守ると誓いました。
つまり、物語は「終わり」ではなく「これから」に繋がったはずです。
にもかかわらず、第42話冒頭はあまりにも穏やかでした。
誰一人として、「災い」について深く語ろうとはしない。危機に備える様子もない。
まるで、完全に問題が解決したかのような空気です。
温度差が生む違和感
もちろん、戦いの後に日常が戻る描写自体は必要です。
緊張が永遠に続けば、視聴者も疲れてしまいます。
ですが今回の違和感は、「緩んだこと」そのものではありません。
緊張が持続していないことにあります。
41話で提示された「未来への不安」が、42話冒頭ではほぼ棚上げされているように見えました。
災いはどこへ行ったのか。
何が起こるのか、誰も気にならないのか。
視聴者の側にはまだ残っている問いが、作中人物の中ではすでに薄れているように見える。
これは赤の女王の時と同じです。
24話でも赤の女王が災いについて言及しており、リップルに至っては「破滅の未来」のヴィジョンを見せられています。
にもかかわらず、誰も「災い」が何なのか考えもせず「悪を倒してめでたしめでたし」を決め込み、新たな敵の出現に「めでたしだったはずなのになぜ?」と困惑する始末でした。
プリンセスたちが「災い」に対して頑なに思考停止しているのにはなんらかの理由があり、これからそれが回収されるのかもしれません。
しかし、それでも脚本に対する不信感は拭いきれないでしょう。
「今まで深く突っ込まなかった」発言の意味
ながせの「なんで今まで深く突っ込まなかったんですかねえ」という一言。
この台詞が引っかかる理由は、単に「遅い」からではありません。
もっと根本的な問題があります。
それは、視聴者もナビーユのことをほとんど知らないという事実です。
視聴者にとってのナビーユ
ナビーユは物語初期から登場している重要ポジションの存在です。
ジャマオックの気配を察知できる特異なアリスピアン。
しかし、振り返ってみるとどうでしょうか。
ナビーユを主軸にしたエピソードはほとんどありません。
彼の過去も、出自も、内面も深掘りされていない。
みなもたちが学校に行っている間、地球で遊んでいる間、彼が何をしているのかも分からない。
みなもたちは画面外でナビーユと絆を育んでいたのかもしれません。
ですが、我々視聴者にとっては画面に映ったものがすべてです。
その結果、ナビーユは「プリンセスをサポートするアリスピアン」という役割以上の存在になりきれていません。
だからこそ台詞が空回りする
みなもたちが「いつも一緒だったから、あらためて聞かなかった」「当たり前すぎて気にも留めなかった」と語るとき、視聴者は置いていかれます。
「一緒にいるのが当たり前になっているくらい大切な存在」という感覚が、視聴者側には十分共有されていないからです。
あくまでも「プリンセスたちにとってはそうなんやろな」という距離感です。
もしナビーユに濃密なメイン回があり、彼の葛藤や日常が描かれていたなら、この場面は胸に刺さったはずです。
しかし現状では、「確かにあまり知らないよね」「脚本の都合なんちゃうん?」
という、どこか他人事の感想に落ち着いてしまう。
黒幕だったとしても衝撃が弱い理由
仮に今後、ナビーユが黒幕だったと明かされたとしても、そこまで強いショックは受けない気がします。
裏切られた、という感覚は積み重ねられた信頼があってこそ成立します。
ですがナビーユとの関係は、視聴者にとってはまだ「役割的な信頼」の域を出ていません。
それは意図的な伏せだったのかもしれません。
黒幕化のための温存だった可能性もあります。
ですが結果として、感情移入のための描写が不足しているのも事実です。
遅さ以上に深刻なもの
今回の問題は、「なぜ今まで深く突っ込まなかったのか」という時間的な遅れ以上に、深く突っ込むだけの土台が視聴者側にないことにあります。
問いが提示されても、共感の蓄積が足りない。
そのため、ドラマとしての爆発力がまだ生まれていない。
第42話はここからナビーユの核心に迫ろうとしています。
もし今後、大きな真実が明かされるのであれば、それに見合う感情の厚みが補強されるかどうか。
脚本の信頼は、そこにかかっていると感じました。
認識阻害設定の可能性とリスク
ここまでの違和感を前提にすると、ひとつの仮説が浮かびます。
もしかして、みなもたちは考えなかったのではなく、考えさせられなかったのではないか。
つまり、何らかの認識阻害や強制力が働いていた可能性です。
半ば揶揄のつもりで考え始めた仮説ですが、能力設定を踏まえると、完全に荒唐無稽とも言い切れません。
バンド・スナッチが持つ干渉能力
1・2クール目では、バンド・スナッチが人間の少女に対して記憶改竄や認識阻害を行えることを示唆する言動をしていました。
13話で女装がバレなかったのも、単なるギャグではなく認識阻害の賜物です。
つまりこの世界では、
- 記憶を曖昧にする
- 認識を歪める
- 違和感を抱かせない
といった精神干渉が、能力として成立している。
これは世界観上、前例があるということです。
ナビーユとの共通性
ここで気になるのが、ナビーユのデザインです。
瞳孔の意匠が、バンド・スナッチと共通している。
偶然とも取れますが、無視できない共通点です。
もし精神干渉系の能力がバンド・スナッチ特有のものではなく、同系統の存在にも共有されているとすれば。
ナビーユがジャマオックの気配を察知できるといった特異性と合わせて、何らかの「干渉側」に立てる存在である可能性も浮かびます。
そう考えれば、なぜプリンセスたちが「災い」や「ナビーユ自身」に対して不自然なほど掘り下げようとしてこなかったのか。
その理由として「認識阻害が働いていた」という説明は、一応は辻褄が合います。
しかしそれは救済か、逃げか
問題はここからです。
もし本当に認識阻害設定が存在するなら、これまでの違和感は一気に回収されるでしょう。
「だから気づけなかったのか」と。
ですが同時に、それは極めて危険なカードでもあります。
物語上の不自然さを、後付けの能力でまとめて処理することになるからです。
- キャラクターが考えなかった理由
- 問題提起が遅れた理由
- 視聴者との認識差
それらをすべて「干渉されていたから」で済ませるなら、便利ではありますが、信頼は削れます。
説明として機能するか。
それとも構造上のほころびを覆い隠す布になるのか。
この線引きは非常に難しい。
皮肉と期待のあいだで
正直な話「強制力でも働いていたんですか」と皮肉のひとつも言いたくなる状況ではあります。
ですが同時に、もし本当にそこまで踏み込む覚悟があるのなら。
認識そのものを揺るがす展開は、物語を一段階引き上げる可能性も持っています。
大切なのは、それが都合の良い説明に終わるのか、それとも物語の必然として提示されるのか。
第42話は、まだ答えを出していません。
だからこそ、この仮説は期待と不安の両方を孕んだまま、保留されている状態なのです。
まとめ|熱量は戻った、信頼はこれから
第42話は、間違いなく熱を取り戻した回でした。
バンド・スナッチの再臨、新曲という強い演出、物語が再び大きく動き出す気配。
高揚感という意味では、シリーズ屈指の瞬間だったと言っていいでしょう。
一方で、ナビーユの掘り下げや「災い」への向き合い方には、構造的な揺らぎも見えました。
問題提起そのものは前進ですが、提示の遅さや描写の不足は否定できません。
熱量の回復と、物語への信頼感の回復は、必ずしも同時ではないのだと感じさせられます。
だからこそ次回が気になります。
今回提示された違和感や仮説が、必然として回収されるのか、それとも説明で終わるのか。
第42話は、その分岐点に立った回でした。
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