『プリンセッション・オーケストラ』第3話感想|「決意完了!」リップルとジールが見せた覚悟と共闘

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第3話「決意完了!」は、リップル=みなもが前回の決意を行動で示す、まさに「覚悟の実行」の回。

かがり=ジールとの戦闘シーンでは、不慣れなリップルを守る先輩の姿と、それに応える形で奮い立つリップルの姿が丁寧に描かれます。

バトル演出の熱量もさることながら、ふたりの関係性に変化が生まれることで、物語としても確かな一歩を踏み出した印象です。

さらに今回は、かがりの家庭環境や価値観といった人物背景にもスポットが当たり、キャラクターの深みが増す回でもありました。

一方で、敵勢力やアリスピアの謎も少しずつ顔を見せ始め、物語世界の輪郭がじわじわと浮かび上がってきます。

リップルとジールの共闘が始まった今、ここから物語がどんな風に加速していくのか――その始まりを感じさせる第3話を振り返ります。

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「決意完了!」の意味とは?リップルの覚悟が形になる瞬間

第3話のサブタイトル「決意完了!」は、まさに前回リップル=みなもが示した「決意」を、行動として実行に移したことを意味しています。

新たな覚悟を抱くというよりも、自分で決めたことをやり抜く姿勢――その「完了」を描いた回でした。

守られる側から、戦う側へ|リップルの変化

戦闘に不慣れなリップルに代わって前線に立ち続けたのは、プリンセスとして経験豊富なジール=かがり。

ひとりでジャマオックを相手にする彼女の姿には、戦闘のスキルだけでなく、「先達として新人を守る」という強い責任感が滲んでいました。

かがりの奮闘を目の当たりにしたみなもは、自分の無力さと正面から向き合います。

戦力にならない自分への悔しさ、そして前回の覚悟を胸に――「こんなのは、私がなりたかったプリンセスじゃない」と己を奮い立たせ、ふたたび戦場へと戻ってきます。

逆転の共闘、そして信頼へ

そして今度は、リップルがジールの窮地を救う番。

その構図の転換が、ふたりの共闘の始まりを鮮やかに印象づけていました。

この場面でジールが発する「白刃取ったッ!?」という驚きの台詞は、余すところなくSAKIMORI。

公式からのネタ提供が潤沢すぎるんよ。

まるで『シンフォギア』の翼さんを彷彿とさせるこの台詞は、熱量の高いバトル演出の中でも特に印象的な瞬間です。

こうした台詞回しや演出からも、本作の「分かってる感」が伝わってきます。

特撮やシンフォギアを彷彿とさせる高エネルギーな演出と共に、ふたりの関係性が「先輩と新人」から「信頼し合う仲間」へと一段階進んだ瞬間でもありました。

かがりとみなも|先輩・後輩から「仲間」へ

第1話〜3話の前半時点では、リップルにとってジールはまさに「理想のプリンセス」。

自分の憧れであり、指導者的な存在として接していました。

一方、ジールにとってもリップルは、守るべき新人であり、まだ未熟な相方。

しかし、第3話後半の戦いを経て、ふたりの関係性は少しずつ、しかし確かに変化していきます。

その象徴が、名前の呼び方の変化。

これまで「空野さん」「識辺さん」と苗字で呼んでいたふたりが、戦闘後のやり取りで「みなも」「かがりちゃん」と名前で呼ぶようになります。

先輩後輩から、一緒に戦う仲間しての距離感に近づいた証と言えるでしょう。

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かがり=ジールの掘り下げ|強さとしなやかさの理由

第3話では、戦闘シーンだけでなく日常パートでも、プリンセス・ジール=かがりの人物像が丁寧に描かれました。

彼女の強さはどこから来ているのか。

その理由を探ると、単なる「才能」では語れない、しなやかで芯のある内面が浮かび上がります。

才能ではなく「積み重ね」|かがりの原点

かがりの父はテレビ出演もしている有名な振付師、母は世界的に活躍するオペラ歌手という芸術一家。

そんな両親の元で育ったかがりですが、彼女自身はそれを「才能の家系」として誇るわけではありません。

みなもから「才能が段違い」と言われた際、かがりは穏やかにこう返します。

「才能があるわけじゃないと思う」「ただ、昔からやっていただけ」「他人よりもほんのちょっと、スタートが早かっただけ」

――この言葉に、彼女の真面目さと地に足のついた価値観が表れています。

プリンセスになった理由は「怒り」

そんな彼女がプリンセスとして戦うことになったきっかけも明かされました。

それは、大切な表現の場である「アリスピア」がジャマオックに荒らされたことへの怒り。

みなもが「親友を守りたい」と願って変身したように、かがりは「表現を奪われた怒り」でプリンセスになった。

動機の違いは、ふたりの価値観の差を浮かび上がらせつつも、根底には「大切なものを守りたい」という共通の想いがあると感じさせます。

「決められる強さ」と「偶然のなりゆき」

印象的だったのは、みなもが「自分でやりたいことを決められる強さがあるからかがりはプリンセスになれたのだ」と得心するシーン。

けれども、その言葉を受けたかがりは、「偶然」「なりゆき」と微笑むのです。

力強い言葉で自分を鼓舞するみなもと、控えめで等身大のスタンスを崩さないかがり。

異なる視点が交わり、ふたりの関係はより深く、豊かなものになっていきます。

変身バンクと必殺技に宿る熱さ

戦闘シーンでも特筆すべきは、ジールの変身バンクと必殺技の演出です。

その熱量は、女児向けアニメの枠を超えて、まるで往年の少年向けバトルアニメのような迫力と説得力を感じさせます。

フラメンコを取り入れた変身演出

ジールの変身バンクは、フラメンコをモチーフにした力強くも美しい演出が印象的。

サパテアード(足の踏み鳴らし)に音ハメを合わせた繊細な作り、ビスチェからドレス、そしてレオタード風のプリンセス衣装へと移り変わる衣装変化も見ごたえがあります。

このバンクシーンのディレクターは、『スレイヤーズ』の監督などで知られる渡部高志氏。

90年代アニメを見て育った視聴者には、懐かしさと高揚感が直撃する人選です。

私の十代はスレイヤーズと共にあったと言っても過言ではありません。

この書き方だと、いまは一線を退いている印象を与えてしまいますが、私との縁がないだけで、渡部氏はいまでも現役(御年67歳!)で活躍されている方です。

※最後に見た渡部氏が関わったアニメは2013年の閃乱カグラ

必殺技「ジール・ライジングヴォルケーノ」の爆発力

ジールの必殺技「ライジングヴォルケーノ」は、名前からして熱量が高すぎます。

電光を纏いながら放たれる巨大な火炎球は、どこか『スレイヤーズ』の「竜破斬ドラグ・スレイブ」を彷彿とさせるインパクト。

アリスピアを焦土と化しかねない威力とビジュアルは、完全に少年向けバトルアニメなんだよなあ

八分音符(♬)がかわいいSEでぴょこぴょこ跳ねるところから、こんな殺意が高い決め技をお出しされるとは思わないじゃないですか。

可愛さに囚われない演出が、ほかの女児向けアニメと異なる方向性を示しています。

バンド・スナッチとチェスモチーフの敵キャラ

第3話では、新たな敵キャラクター「ギータ」が初登場。

敵勢力「バンド・スナッチ」の一員として、物語に顔を見せました。

ギータは本格的に動き出したわけではないものの、謎の多い組織の存在感を印象づける役割を果たしています。

バンダースナッチとジャバウォックの影

「バンド・スナッチ」という名前の元ネタは、おそらくルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』に登場する空想の生き物「バンダースナッチ」。

同作には「ジャバウォック」も登場しており、ジャマオックというネーミングにもその影が見え隠れします。

「不思議の国のアリス」や「鏡の国のアリス」には、チェスやトランプの駒、言葉遊びやナンセンスな論理といったモチーフが散りばめられています。

本作に登場する敵キャラたちの設定にもその要素が取り込まれているようです。

特に『鏡の国のアリス』では、「白のポーンであるアリスが、盤面を進んで女王になる」という物語構造があります。

ジャマオックの「ナイト」はそのチェス盤の上の存在として描かれており、今後の物語において「女王」や「キング」に相当する敵が登場することも予感させます。

ナビーユは本当に「何も知らない」のか?

かがりによると、ナビーユは、バンド・スナッチについては「本当に」何も知らないとのこと。

一方で、ジャマオックについては「よく分からない」と、曖昧に答えていることもあり、バンド・スナッチ以外については何か知っていそうな含みが感じられました。

彼の言葉は本心なのか、それとも別の意図があるのか。

バンド・スナッチの全貌とともに、ナビーユの立ち位置や役割も、今後の鍵を握る要素となりそうです。

アリスピアの謎|少女たちの「表現」の場?

第3話では、アリスピアという世界の謎が、あらためて提示されました。

特に印象的だったのは、アリスピアに行けるのが「高校生くらいまでの女の子」に限られるという設定。

なぜ年齢制限があるのか、大人や男性は入れないのか、といった問いが自然と浮かんできます。

さらに、動画投稿サイト「アリスピアch」での動画配信は、何のために行われているのか。

そもそもアリスピアとは何なのか――その根本的な謎が、より浮き彫りになってきます。

アリスピアchは誰のためのものか?

アリスピアchに投稿される動画は、少女たちが自ら撮影しているものではありません。

アリスピアの住人――「アリスピアン」たちが、彼女たちの姿を映像として記録し、動画として編集しているのです。

これは単なる舞台裏の一部ではなく、アリスピアという世界そのものの構造に関わる重要な要素と考えられます。

少女が活躍する姿を、誰かが撮って、誰かに見せている。

その図式は、単なるエンタメを越えて、社会や文化における「少女」という存在の象徴性をも連想させます。

少女という存在と、その「商品価値」へのまなざし

アリスピアが「少女だけの空間」であり、かつその様子が外部に発信される仕組みになっている――この構造は、批評的視点をもって捉えるとき、非常に示唆的です。

「少女」という概念は近代社会によって構築されたものであり、成長の途中にある「女」をある種の商品価値として捉え、隔離することで生まれた存在である。

というようなことを言ったのは、評論家・漫画原作者の大塚英志氏だったでしょうか。

アリスピアchの動画は、まさにそうした少女たちの「カタログ」のようにも見えてきます。

「その映像は誰のためのものなのか?」「アリスピアを『観ている』存在は誰なのか?」という問いが、物語を追うごとにじわじわと浮かび上がってきます。

まとめ|第3話は物語の起動スイッチ

第3話では、リップルとジールの関係が「先輩・後輩」から「仲間」へと変化し、共闘が本格的に動き出しました。

バトル演出の熱さとキャラクターの内面描写が見事に融合し、視聴者の感情を揺さぶる展開に。

ジールの背景や必殺技の描写も、彼女のキャラをより立体的にしています。

さらに、新たな敵キャラの登場やアリスピアの構造など、世界観の裏側も少しずつ明かされ始めました。

物語全体が本格的に動き出す「起動スイッチ」として、非常に濃密な一話でした。

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