プリンセッション・オーケストラ第12話感想|カリストの歌と「主」の影──戦場で試されるプリンセスの覚悟

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第12話「楽園に涙はいらない」は、プリンセスとバンド・スナッチのリーダーが正面からぶつかる、これまでで最も激しい戦闘回。

カリストの衝撃的な歌唱シーン、ベスの複雑な感情、謎の「主」の登場など、バンド・スナッチ側の情報も一気に開示されました。

戦場の只中で描かれるプリンセスたちの覚悟と絆。そして、謎の強化フォームの兆し……。

第11話から続く物語の決着点にして、今後の展開を大きく揺るがす一話でした。

本記事では、その見どころと考察ポイントを深掘りしていきます。

カリストの歌唱と「演出された戦場」

第12話最大の見どころのひとつが、ついに披露されたカリストの歌唱シーン。

曲名は『使命は赤きセレナーデ -Ver.First Blood-』。

曲名にある「First Blood」は最初に流れる血=先制攻撃を意味し、戦いの幕開けと同時に、自らの手を汚す覚悟を感じさせる一曲です。

歌で戦う敵の新鮮さと圧倒的な存在感

プリンセスたちの攻撃を優雅にいなしながら、まるで舞台に立つ俳優のような立ち居振る舞いで歌うカリストの姿は、従来の女児向けアニメの枠を超えた衝撃を放っていました。

プリオケの、戦闘中に歌唱を披露するという構成自体は『戦姫絶唱シンフォギア』を踏襲しているものの、男性キャラクターが自ら前線で歌って戦うという点で、大きな差別化が図られています。

シンフォギアのカリオストロは男性声優だったが、元男性・現女性という設定

しかもこの曲、どうやら本気ではなかったらしいというのが恐ろしいところ。

ベスの「碌に喉も開いていない」「やる気があるのか?」という台詞から、今回の戦闘が肩慣らしに過ぎなかったことが示唆されます。

曲名に添えられた「-Ver.First Blood-」という副題からも、彼の歌唱が物語において継続していく可能性が高いと考えられます。

個人的には、ほかのバンド・スナッチのメンバーにも歌ってもらいたいですが、カリストが「4人でひとつのバンド」と言っていることから、彼らはおそらく演奏に徹するのでしょう。

まあ、推し(ベス)が歌ったら私の心臓が持たないし、歌わなくてもいいかな……。

本音を言えば歌ってほしいですけども(複雑な乙女心)。

「演出された戦場」としての戦闘シーン

さらに注目すべきは、今回の戦闘そのものがカリストにとって「舞台」であるという点。

前回(11話)での彼の発言――

「さあ、ここからが僕のライブの始まりだ」「開演は間もなくだ」

からも明らかなように、これは単なる敵対行動ではなく、演出された戦場いくさばでした。

この戦いは、プリンセスたちをただ倒すためのものではありません。

カリストは第11話で「彼女たちの覚悟がどれほどのものかを試す」と語っており、今回の戦闘もまさにその試練として仕組まれたものです。

しかもそれは、彼女たちのミューチカラを極限まで引き出し、高めたうえで、それを奪うことを見据えた「目的達成のプロセス」であることが、第12話終盤の言動からも示唆されました。

この構造を前提にすると、戦闘後にベスがカリストに対して「手を抜いていただろう!」「お前の力はあんなものではあるまい!」と激昂する場面の意味がより際立ってきます。

ベスがカリストの中途半端な態度に苛立ちを覚えるのは、意図を把握していないためですが、観客側にはその温度差=「情報共有されていないバンド・スナッチ内部の不一致」までもが鮮やかに伝わります。

つまり今回の戦闘は、「覚悟を試し、力を育てて奪う」ためのショーであり、それを演じるカリストと、それに気づかぬまま不満をぶつけるベス――双方の思惑のズレが、物語の緊張感をさらに高めていると言えるでしょう。

【与太話】「First Blood」とバンド・スナッチが隠し持つ「戦争」の記憶

カリストの曲『使命は赤きセレナーデ 』の副題にある「First Blood(=最初の血)」は、1982年公開のアクション映画『ランボー』の原題でもあります。

そして『プリンセッション・オーケストラ』の企画・原案を手がける金子彰史氏は、映画愛好家。

彼が上松氏と共に原作を務めた『戦姫絶唱シンフォギア』でも、作中に映画ネタが登場しており、今回の命名にも意図が隠されている可能性が高いです。

では、なぜ「First Blood」なのでしょうか。

ランボーは「帰還兵」である

映画『ランボー』の主人公・ジョン・ランボーは、ベトナム戦争からの帰還兵であり、戦場に心を置いてきた男です。

彼は「もう戦争は終わった」とされる平和なアメリカで、正義を疑われ、再び戦闘状態へと引きずり込まれます。

ここで、バンド・スナッチに目を向けてみましょう。

彼らの血液型は「ハート型」「スペード型」など、トランプのスートで表されています。

これは『不思議の国のアリス』に登場するトランプ兵を思わせますが、同時に「兵士であること」を示唆してはいないでしょうか?

もし彼らが「戦争の記憶」を背負った存在だとしたら――

バンド・スナッチは「終わらなかった戦争」の遺児?

「First Blood(最初に血を流したのは誰か)」という言葉には、「誰が戦争を始めたのか」という問いが込められています。

作中では、プリンセスたちがいまの世界を守る存在として描かれていますが、バンド・スナッチ側には「主」と呼ばれる謎の存在が控えています。

その「主」は、玉座と一体化したようなシルエットで描かれており、まるで戦争の遺産そのもののようにも見えます。

カリストの「僕たちは4人でひとつ。ちょうど君たちのようにね」という台詞も意味深です。

まるで、プリンセスとバンド・スナッチが「鏡合わせの存在」であるかのよう。

つまり、かつて同じ戦場にいた「戦友」が、別の道を歩んだ末に敵味方に分かれている可能性すら浮上します。

バンド・スナッチとは「戦争に囚われた者たち」?

こう考えると、バンド・スナッチ=「過去の戦争の残滓」であり、「First Blood」はその引き金となった出来事――あるいは、彼らが「主」のために流した最初の血を指しているのかもしれません。

そしてプリンセスは、その戦争を終わらせる使命を持つ「新たな戦士」たちなのです。

「First Blood」という曲名が示すのは、いまはじまる新たな戦いではなく、「終わっていなかった戦争」の続き

カリストの歌は、平和の中に埋もれていた過去の悲劇を、再びステージへと引きずり出すためのプロローグなのかもしれません。

ベス、こじらせ強火オタク説? カリストに揺れる感情

第12話では、バンド・スナッチのベスが一段と印象的な存在感を放っていました。

特にカリストに対する言動があまりにも情緒豊かすぎて、これもうめんどくさい強火オタクじゃないですかやだー!!!!!

私のこれまでの考察はいったいなんだったのか。

ギータとの温度差、ドランのツッコミ

プリンセスたちを圧倒するカリストを見て、無邪気に喜ぶギータに対し、ベスは

「分かり切った結果でつまらん」

「それよりなんだあの歌声は。碌に喉も開いていない。あいつ、やる気があるのか?」

と、なぜか歌唱技術にまで口を出しながら饒舌に語り出します。

あまりの熱量にドランから「お前はカリストのことになるとおしゃべりになるよな、って思ってさあ」とツッコミが入り、ベスは「そんなわけがなかろう!」と冷静を装いつつも声を上ずらせて全否定。

昔馴染みからもベス=カリスト大好きと認識されてるじゃないですか!!!!

しかし、ドランはドランでちょいちょいベスの古参面するのはなんなんだ。なんなんだバンド・スナッチ。

帰還したカリストにブチギレるベス

さらに、カリストが戦闘を途中で切り上げて帰還すると、ベスは「ふざけるなよカリスト。なんだあの体たらくは。手を抜いていただろう!?お前の力はあんなものではあるまい!」と一転して大激怒。

このときのベスの言葉は、冷静な分析というより「なんで本気を出してくれなかったの!? 推しのステージ、もっと見たかったのに!!」という叫びにしか聞こえませんでした。

推しのパフォーマンスが不完全燃焼に終わったときの、ファンのもどかしさがにじみ出ています。

強い執着心と過剰な批判の裏にある親愛?

こうして振り返ると、ベスの態度は「嫌い」と「好き」の境界線があいまいな、こじらせたオタク特有の感情に見えてきます。

10話では、カリストに対する警戒心を見せていたベスですが、第12話でその印象がまるっとひっくり返されました。

戦闘スタイルや歌唱にまで言及しながら、なんやかんやでカリストの言動を誰よりも注視しているベス。

もはや彼の「推しへの複雑な感情」を疑う余地がないレベルでした。

フラグの予感?変化するベスの立ち位置

ただ、ここまでキャラが立つと、不安にもなります。

ベスに対して情報共有(プリンセス育成)がされていないほか、プロフィールに書かれた星座や血液型のスート、10話ラストの3対1の構図などから不穏なフラグを感じるためです。

みなもとの間に立っているフラグが「光堕ち」であることを祈っています。

見えたか?プリンセスの強化フォーム

第12話終盤、プリンセスたちがカリストとの再戦に挑んだ場面で、注目すべき変化が描かれました。

渾身の力で彼の攻撃を押し返すその瞬間、3人の衣装の上に、うっすらと甲冑のような光が重なる演出が挿入されたのです。

これは、いわゆる「強化フォーム」の片鱗ではないかと考えられます。

衣装の上に浮かぶ光の甲冑の意味

12話の戦闘シーンは、ビジュアル的にも非常に印象的で、特にカリストの攻撃を跳ね返す場面で浮かんだ光のエフェクトが、これまでの変身演出とは明らかに異なっていました。

光の装甲がプリンセスたちの衣装の上に重なり、瞬間的に別の姿を予感させるような演出が挿入されたのは、今後のパワーアップを示唆する伏線ではないでしょうか。

一度は変身解除に追い込まれながらも、3人の力を再び束ねることで反撃の一手を繰り出す展開自体、成長や覚醒を象徴する構造になっており、この光の甲冑は強化フォーム実装の前触れと見るのが自然です。

「ミューズタクト」と未発表曲の関連

こうした演出と強く結びついているのが、2025年7月に発売予定の新アイテム「ミューズタクト」です。

玩具としての商品紹介には、未発表の楽曲『Supre Highre Dreamer!!!』が収録されると予告されており、強化形態の専用テーマである可能性が高そうです。

12話の光のエフェクトが強化フォームの予兆であるとすれば、次なる本格的な変身回は7月中、つまり「ミューズタクト」の発売タイミング前後に訪れる可能性が高いと考えられます。

今後の展開としては、まず「Supre Highre Dreamer!!!」の歌唱シーンと、それに呼応する新しい演出の挿入。

そして、それぞれのプリンセスが個別に、または3人同時に強化されるのか――そのあたりも注目ポイントになりそうです。

「主」とは誰か?玉座の存在とプリンセスとの因縁

第12話のラストで姿を見せた、バンド・スナッチの「主」。

その正体は依然として不明ながら、わずかに映ったシルエットと周囲の演出から、いくつかの推測が立てられます。

彼女(?)は玉座のようなものに腰かけ、王冠のような装飾を頭に載せており、まさに支配者然とした風格を漂わせていました。

クイーンの可能性と「玉座との融合」演出

本作のモチーフである『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』において、「主」に該当する存在は、ハートの女王あるいは赤の女王でしょう。

玉座に座るシルエットの存在は、その構図からしても君主を思わせますが、注目すべきは足が見えないこと。

まるで玉座と融合しているような印象を与えるシルエットは、自由意志を持つ存在ではなく機構の一部として祭壇化された存在を連想させます。

このことから、「主」は何らかの理由で自ら動くことができず、バンド・スナッチたちがその意思を代弁し、実行している――という構図が見えてきます。

即身仏のような演出や人柱的なモチーフすら感じさせるこの姿には、プリンセスとの深い因縁がありそうです。

蝶の冠とジールとの共通点

さらに注目すべきは、「主」が被っていた冠に蝶の意匠があったことです。

これはプリンセス・ジール(かがり)と共通するモチーフであり、偶然とは思えません。

ジールといえば、物語序盤から冷静沈着で正義感が強く、頼りになる先輩プリンセスとして描かれてきました。ちょいちょいかわいい生き物」になりますけど。

それと同時に「不穏な伏線」も多く散りばめられていました。

たとえば、彼女が個人としての悩みや欲望を表に出す描写が少ないことや(洋菓子への執着はさておき)、仲間と異なり、「人」ではなく「場」を守ることを行動原理としている点などは、やがてなんらかの転機が訪れる予感を抱かせます。

その中で、「主」と蝶のモチーフが重なるとなれば――「主」はかつてのジール、あるいは「堕ちたジール」なのでは? という仮説も浮上します。

闇堕ちと光堕ち、ジールとベスの対比

この文脈で興味深いのが、ベスとジール(かがり)の対比構造です。

どちらも「甘いもの好き」「推しに対して饒舌になる」といった共通点を持っています。

12話時点でのベスは、カリストへの強すぎる思いゆえに内面の不安定さが浮き彫りになっており、「こじらせ枠」的ポジションでキャラが急成長中。

一方、ジールはプリンセスの中で最も安定しており、逆に「いつか揺らぐ日が来るのでは?」という緊張感があります。

このように見ていくと、ジールが「闇堕ちルート」を辿るのだとすれば、ベスが入れ替わるように「光堕ち」する可能性も感じさせます。

「白の騎士」は誰?

『鏡の国のアリス』では、アリスは白の騎士に導かれて白の女王になります。

ジールが赤の女王となるなら、白の女王は、アリスを彷彿とさせるカラーリングであるリップルでしょう。

なら、白の騎士は?

ベスの血液型はスペード型なのですが、スペードは「死」「剣」「騎士」を意味します。

※いつの間にかダイヤ型(だったはず)から変更されてた。

また、ベスはジャマオックの研究開発を担っていますが、白の騎士も発明家であります。

このように共通点も多く、みなもとのフラグも立っていることから、ベスがリップルの騎士となることも考えられます。

だとしたら、推し歌うじゃん……。

※白の騎士がアリスのために歌う場面がある。

まとめ

第12話は、カリストの歌を中心に戦闘・演出・人間関係が複雑に絡み合う、非常に濃密な一話でした。

彼の目的や「主」の存在、ベスの情緒的な反応など、敵側の内情が徐々に見えてきたことで、物語の地盤が一段と深まった印象です。

一方で、プリンセスたちも確かな成長を見せており、強化フォームの布石がどのように回収されるかにも注目が集まります。

次回以降、「育てて奪う」というカリストの方針がどのような形で実行されるのか──そして、それに抗うプリンセスたちの決意がどう描かれるのかが鍵となりそうです。

考察と妄想が止まらない第12話、これからの展開にも目が離せません。

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