すぎたんこと杉田尚先生が遊戯王のコミカライズ担当!?
どういう因果の糸が集まった結果なの!? 令和パネェ!
と五体投地で大宇宙に感謝し、待ちに待った漫画版「遊戯王ゴーラッシュ!!」の1巻が、2022年12月2日に発売されました!
発売から何日経ってると思ってるんだ。おせーよホセ。
というわけで、すぎたんが描く漫画版「遊戯王ゴーラッシュ!!」1巻の感想を記事にしました。
それと併せて、すぎたんの画力変遷も簡単にまとめています。
遊戯王ゴーラッシュ1巻から2巻にかけてのすぎたんの画力変遷はこちらからご確認ください。
- 1巻
- 2巻
- 3巻
- 4巻
遊戯王ゴーラッシュ!! 漫画版とアニメ版との違いや特徴など
漫画版「遊戯王ゴーラッシュ!!」を読んで感じた、アニメ版との違いや漫画版ならではの特徴などを、三つの項目に分けて記述しました。
遊戯王ゴーラッシュ!! 漫画版キャラクターの性格
アニメ版ユウディアスは本当に軍人か疑わしいくらい純真で、もはや幼女。
一方漫画版は、下心を見せて変顔を披露したりとアニメ版より少年らしさが強いデュエル馬鹿になっていました。
漫画版もアニメ版も「ラッシュデュエルが持つ平和の力」を心から信じているのは同じ。
漫画版では、ユウディアスがラッシュデュエルの力を「コミュニケーション力」と定義していたのが印象的です。
第1話から本質ついてくるなあ。
王道兄妹は基本的な性格は変わらないのですが、遊歩ちゃんに怪力属性が付与されていました。リアルファイト要員かな?
ズウィージョウは、分かりやすくユウディアスへの嫉妬心を発露していて行動原理が明確になっていますね。
「そういうところがワレは大嫌いなのだ!」
とアニメでは言っていましたが、漫画版では、
「その軟弱な言動が出会った頃よりワレを嫌悪させる」
と上官にふさわしい語彙力を発揮。
「嫌悪していた」じゃなくて「嫌悪させる」なんですよねえ。
「嫌悪したくてしてるんじゃない、お前の言動が不快なのが悪いんだ」と。
歪んだクソデカ感情が滲み出てていいですね!
……すぎたん「てにおは」や活用が若干怪しい時あるから、特に深い意味はないかもしんない。
遊戯王ゴーラッシュ!! 漫画版のデュエルの演出・表現など
すぎたんがデュエルディスクやモンスターを描いてる! ひゃくおくまんてん!(ガバガバ採点)
冗談抜きに、作画コスト高めのズウィージョウのモンスターを、細部もしっかり描いて動かしているのに感動しました。
昔のすぎたんしか知らない方たちの眼窩にボイルドベーグル《ヴォイドヴェルグ・レクイエム》の召喚シーンをねじ込みに行きたいですね。
「漫画版ゴーラッシュ!!」のデュエルの描写や演出は、遊戯王原作者・高橋和希先生の系譜に連なっておらず、すぎたんの個性が反映されたものになっていました。
すぎたん自身は遊戯王の影響受けてそうですが。「斬」の「人格が豹変する気弱な主人公」とかもろに遊戯ですし。
個性が光ってるな、と感じたのは主に以下の3点。
- 流血・出血描写
- 裏側守備表示
- 墓地
デュエルでモンスターが実体化したり、リアルダメージが発生したりするのは「遊戯王あるある」で、骨折したり入院したり、流血することもあります。
ですが、モンスターに袈裟斬りにされて血飛沫ブッシャー!! は流石に未だかつてない。
バイオレンス! そして輝くすぎたんの個性!
最強ジャンプは児童漫画誌だぞすぎたん!
そして、流血描写以外でもすぎたんの個性的な表現が見られました。
「漫画版ゴーラッシュ!!」では、裏側守備表示でモンスターを召喚すると、ドロドロした黒いシルエットが出現します。
「召喚自体はされてるけど姿は分からない」という状態がビジュアル化されていて分かりやすいのですが……なんか禍々しい!
「墓地」の表現もドストレート過ぎてかえって斬新でした。
モンスターをリリースすると、上から墓標がグサーーーッッッとぶっ刺さるのおもしろすぎでしょ。
墓地から特殊召喚時は墓の下からゾゾゾ……っと復活したりと、いや分かりやすいんですけども!
「墓地」を墓地として描いてる遊戯王漫画ってほかにあります??
遊戯王ゴーラッシュ!! 漫画版のストーリーについて
遊戯王のコミカライズは基本的にアニメと漫画版ではストーリーが異なります。
漫画は月刊誌での連載。
それに合わせてキャラクターやストーリーをそぎ落とし、あるいは凝縮、改変してコミカライズされています。
ゴーラッシュも例に漏れず、
- ユウディアスと王道兄妹が出会い
- 遊飛が合羽井テルに
尻子玉アースダマーを狙われ - 子供たちを怖がらせる3メートル星人(みつ子)とデュエルし
- チュパ太郎がメェ~グちゃんを実体化させ
- アースダマーの力を得たズィージョウとリアルダメージが発生するデュエル
とアニメ序盤のストーリーをテンポよく進めていました。
すぎたん漫画ってストーリー展開がゆるふわ(婉曲表現)なんですけど、アニメ版ゴーラッシュも大概ゆるふわなので、相対的に漫画版のほうがストーリー展開がメリハリがあるように見えるのは、良いのか悪いのか。
1巻でいちばん好きなシーンは、第5話P146からの一連の流れ。
ユウディアスとズウィージョウが「ラッシュデュエルの力」の解釈違いで口論しているところに、遊歩ちゃんが物理(岩石投げ)でズウィージョウを黙らせようとした場面です。
やはり暴力……‼ 暴力は全てを解決する……‼(解決してない)
そこからさらに、アースダマーデュエルディスクの力で物理攻撃無効化からの、
「相手を黙らせるにはラッシュデュエルで殴り合うしかないのだよ」
は、きれいな流れだと感じました。
漫画版遊戯王ゴーラッシュ!! 1巻 感想後記
数年ぶりのすぎたん漫画、しっかりと堪能いたしました。
前作「遊戯王SEVENS」とのつながりなどはオミットされるでしょうから、今後はもっとアニメから離れた展開になるはず。よりすぎたん色が強くなるであろう2巻が楽しみです!
第1巻は、2022年10月号(9月2日発売)掲載分までの6話収録。
ということは、第2巻の発売は2023年の6月頃でしょうか。な、長い……!
「漫画版ゴーラッシュ!!」はデュエル構成として彦久保氏が名を連ねているものの、脚本家はクレジットされていません。
ということは、すぎたんがストーリー考えてるんですよね。もちろんアニメ脚本というベースがあるんですけど。
マジンボーンのコミカライズも手堅くまとめていたし、すぎたん、コミカライズは上手いのか……?
こう書くとアレですが、コミカライズの才能があると食いっぱぐれないので(常に需要がある)。
「ゴーラッシュ!!」連載終了後もまた何かのコミカライズに携わってほしいですね。
すぎたんにはずっと漫画家していてほしい……。
【斬から】杉田尚先生の作品一覧&画力変遷【ムッツリ真拳まで】
ここからは「遊戯王ゴーラッシュ!!」ですぎたんを知った方向けに、これまでの連載作品をご紹介します。
斬 【全2巻 週刊少年ジャンプ 2006年34号 – 52号】
すぎたんの初連載作にして伝説の打ち切り漫画「斬」。
老若男女が普通に帯刀している現代日本を舞台にした、武士道学園ファンタジーです。
- 低い画力
- 第1話の尋常でない長さの説明台詞
- 矛盾だらけの作画
- ガバガバなストーリー展開
などの突っ込み要素に加え、バトルシーンの構図の良さや謎の愛嬌からカルト的な人気を獲得。
ファンの手によってアニメ化もされました。https://youtu.be/kn0YlqxaPq0
遊戯王ゴーラッシュ!!の《トランザム・ライナック》のバトルシーンや、ユウディアスの袈裟斬りからの血飛沫に「斬」の気配を感じます。
……真面目な話、本当に絵が下手だったらコミックスのカバーイラストのような構図なんて書けないんですよねえ。
SWOT【全3巻 週刊少年ジャンプ 2010年31号 – 51号】
「斬」から4年。
劇的に向上した画力で一部の界隈を騒然とさせた読み切り「SWOT」が連載化しました。
超不良高校に転校してきたガリ勉が、勉強の邪魔をする不良たちを血祭りにあげていくバトル漫画です。
学崎(主人公)の髪色は、読み切り版の白から赤に変更されています。
画力は上がったものの相変わらずストーリー展開にメリハリと練り込みが欠けており、あえなく打ち切りに。
漫画版「遊戯王ゴーラッシュ!!」ですぎたんに興味を抱いた方に、過去作をどれか1作薦めるなら「SWOT」を選びます。
理由は以下の4つ。
- 「斬」より洗練されている
- 「ムッツリ真拳」よりも万人向け
- すぎたんが描く高頭身のキャラクターが楽しめる
- すぎたんの描くいろんなスーパーローライズ男子が楽しめる
基本的におズボンの股上が浅いので、ヘソ出し男子は下腹部が非常にえっちいことになってます。
第2巻のメイド喫茶回がずば抜けて面白いので! 正直そこだけでもいいんで読んでください!
マジンボーン【全2巻 最強ジャンプ 2014年2月号 – 2015年5月号】
これは打ち切りじゃない! これは打ち切りじゃない!!
2回言ったのには意味がある! 大切なことなので2回言いました!
東映アニメーションのクロスメディアプロジェクト「マジンボーン」のコミカライズです。
キャラクターデザインは「アイシールド21」「ワンパンマン」の村田雄介先生。
そんな画力高い先生が携わってる企画ですぎたんがコミカライズ担当!? ナンデ!?
コミカライズってオファーかコンペで選ぶかのどちらかだとは思うのですが、すぎたん、どっちだったんだろ……。
「SWOT」のあとがきで「次は低い等身で描きたい」と言っていたとおり、低めの等身に戻っています。画力自体もさらにUP!
「マジンボーン」は最強ジャンプで連載されていたのですが、2014年11月号から隔月刊となってしまったあおりを喰らって、最後は駆け足気味に全2巻で完結しました。2巻が分厚い!
月刊のままだったら3巻まで発売されていただろうし、複線回収もできたはず。翔悟の夢に出てきたお母さん、結局なんだったんだ。
しかし物語としてはきっちり完結しているので、円満終了ですよ!
「マジンボーン」でさまざまな「ボーン(鎧)」を描いた経験が、「遊戯王ゴーラッシュ!!」のモンスター描写に生かされていますね。
すぎたん漫画(読み切り除く)の中で唯一電子化されていなかったりと、不遇な作品です。
ムッツリ真拳【全3巻 少年ジャンプ+ 2016年12月9日 – 2017年6月2日】
すぎたんがエロコメを!?
とまたもや一部界隈を騒然とさせたのが「ムッツリ真拳」。
超極端な女尊男卑世界で、究極の乳を求めて女子と戦う(衣服は爆ぜる)エロコメ馬鹿バトル漫画です。
すわ、路線変更か!?
と思えますが、その萌芽は「SWOT」に見出せます。
良い女体を描くようになりましたが、その服どんな素材でできてるの?
乳袋ってレベルじゃねえ。
ストーリー展開は相も変わらずなため、やはり全3巻で打ち切りに。
ですが「ムッツリ真拳」培われた力は「遊戯王ゴーラッシュ!!」のメェ~グちゃんの作画で如何なく発揮されています。
ジャンププラスで3話まで無料で読めますよ!
エロコメというジャンルがゆえに万人におすすめできませんが、すぎたん漫画特有の愛嬌があるので、そこまで不快感はないかと。むしろ微笑ましくすらある。
なんだかんだで。
何度打ち切られても不死鳥のごとく蘇り、20年近くジャンプで漫画家やってるすぎたんってすごくない?
「3回打ち切られたらジャンプに載せてもらえなくなる」とよく言いますが、すぎたんは3回打ち切られてもまだジャンプで漫画を描き続けている稀有な作家ですよ! すぎたんすごい!
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