真っ直ぐな発明少女・まなびが登場した第14話。
アイドルでもダンサーでもない、「自分のやり方で輝く」彼女の姿は、アリスピアという舞台のテーマを静かに照らし出していました。
また、みなもとは異なるラインで描かれたなっちの人間関係や、ギータの「またかよ!」な敗北劇など、表と裏の両面でじわりと物語が動き始めた印象です。
この記事では、そんな第14話の印象的なポイントを掘り下げていきます。
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まなびの造形が示す「自分らしさ」の肯定
葉加瀬まなびの実演紹介!#プリオケ pic.twitter.com/z3pjcqM9eq
— 「プリンセッション・オーケストラ」公式 (プリオケ) (@priorche_info) July 14, 2025
14話で登場したまなびは、一般的な「女の子らしさ」からはかけ離れたキャラクターです。
一人称は「ぼく」、専門は工学、そして歌やダンスは苦手。
そんな「華やかさゼロ」のまなびですが、彼女は自分を卑下するわけでもなく、「自分はこうだから」と自然体で受け入れています。
そして、自分の得意分野である発明で、好きな歌やダンスに貢献することこそが、自分の幸せであると定義する――
アリスピアという「自分を表現するための世界」において、彼女はその理想をある意味もっとも体現している存在なのかもしれません。
「苦手なことを克服する」ではなく、「得意なやり方で前に進む」という選択肢を迷いなく取っているキャラクターです。
「少女らしさとは何か?」という問いに対して、まなびは大仰な主張ではなく、その生き方そのもので静かに答えているようでした。
13話の学びと接続される構成の妙
前回13話では、女装したバンド・スナッチの面々が少女たちと交流し、「歌や踊り以外にも少女の輝きはある」と気づくエピソードが描かれました。
そんな回のすぐあとに、「歌も踊りも苦手だけど、自分の好きなことを追い続けている」まなびのような少女が登場するのは、まさに構成上の仕掛けの妙です。
まなびのミューチカラがしっかり強いという描写も含めて、「少女の輝きの形は一つじゃない」というメッセージを連続して提示している。
これは偶然ではなく、意図された構成でしょう。
特筆すべきは、まなびのような異質な少女が、物語内で力を持つ存在として描かれていることです。
「かわいい」「アイドル的」でなくても、「ミューチカラの強い存在」としてきちんと認められている。
この設計には、アリスピアという世界そのものの包摂性が垣間見えます。
なっちとまなびの関係が語るもの|みなも以外の視点
まなびは、なっちの友人として登場します。
これまで、なっちは「みなもの幼なじみ」「みなもを支える人」としての姿が強調されてきましたが、この14話で彼女がみなも以外の人間関係を持っていることが本格的に描かれました。
この構成の変化が意味するのは、みなも中心の視点から、物語全体が少しずつ広がってきているということです。
陽ノ下なつというキャラクターを「誰かの補助線」ではなく、一人の主体として描こうとする姿勢。
それが、まなびとの関係性の中に自然なかたちで滲み出ています。
この「カメラの引き」によって、作品世界の奥行きがぐっと広がりました。
なっち自身の変化の予感|勉強会を断ったその先に
なっちが「みなもとの勉強会を断る」という選択が描かれたことも見逃せません。
その描写自体は派手なものではありませんが、14話以前から少しずつ蓄積されてきた、なんらかの「兆し」を示唆するものです。
今回、みなもが関与しないコミュニティでの友人であるまなびが登場したことで、なつの人生にもまた、別の軸が動き出していることがはっきりと感じられました。
これは、なっち自身の内面にある目標や葛藤、あるいは秘密が、今後の物語の中で大きな意味を持ってくる、そんな前触れにも思えます。
ギータの「いい考え」は「悪くない考え」?敗北の美学
オレオレ、オレに行かせろよ!
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ギータは今回、「オレにいい考えがある!」と豪語して出撃。
成体ジャマオック・ナイトを投入し、再びプリンセスに挑みます。
結果は、まさかというかやっぱりというか、あっさり敗北。
これは9話の展開と酷似しており、「接待プレイもできないのかよ!」と逆ギレする姿までそっくりです。
ただし今回の敗北は、ギータ個人だけでなくバンド・スナッチ全体の戦術が限界を迎えていることを示しているようにも見えます。
なお、前回は「詫びドーナツ」を持って帰ってきたギータ。
今回の帰還描写はなかったものの、次回のアバンでベスがドーナツ食べていたら、もうそれだけで満点です。
まとめ|静かに動き始めたキャラクターたち
一見すると、まなびの紹介回だった第14話。
でもその実、もっと大きな変化の兆しが詰め込まれた回でした。
なつが、みなもを離れて「別の物語」を動かし始めている。
ギータは、空回りしながらも、いまのバンド・スナッチの限界を体を張って可視化している。
そしてなにより、視点そのものが少しずつ広がっている。
プリンセスの中で起きる変化に加え、物語世界全体のカメラが静かに、しかし確かに動き出しています。
それがこの第14話の最大の見どころだったのではないでしょうか。
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